坪単価の安いハウスメーカーを選べば成功するわけではない
2020年04月05日
注文住宅を建築するのに最大の考慮要素は、予算なのは言うまでもありません。ハウスメーカーや工務店などは日本全国に中小も含めれば選択するのに困るほどの数多くの事業者が存在しています。予算の枠内で納めようとすれば、坪単価が低いハウスメーカーをピックアップして比較するなかで選択するというのも有力な選別法なのは確かです。しかし単純に坪当たりの単価が安いメーカーに依頼しても希望の条件に合致した注文住宅を、手に出来るとは限らないのが現実。それではどのような点に注意してハウスメーカーを選択するべきなのかが問題になります。
まず抑えておくべきなのは、坪単価の算出方法自体が統一した尺度が採用されていない点です。坪単価は建築価格を延べ床面積で割って1坪あたりの建築費用が計上されているのが一般的な趨勢といえます。しかしなかには、ポーチや吹き抜けなど居住空間には含まれない部分も含んだ総施工面積で割った価格で提示されていることもあるのです。ハウスメーカーごとに異なる坪単価が提示されているのは、このような事情が背景に存在しているので、比較するだけでは条件にかなった注文住宅に仕上がらないリスクもあります。水回りや空調などの各種設備類や、エクステリア工事などの工事費用は別途必要になるので、ハウスメーカーに依頼するときには、坪単価を持って事前にどのような内容を含んでいるのかを担当者から確認をとっておく必要があるわけです。
坪単価を左右する設備では、トイレやキッチンなどの水回り設備が重要です。ハウスメーカーによりどの程度の設備を標準仕様に採用しているかにより、現実に必要となる総額は大きく変動することが良くあるためです。例えば坪単価を安くするために、標準仕様を低くしているハウスメーカーに依頼すると、快適な日常生活を送るグレードに仕上げるには大幅なグレードアップを余儀なくされることもあります。注文住宅を建築するときは、自分がどの程度の設備が必要なのか、標準仕様だけで満足できる生活を送れるのかは事前の確認が必須です。
そして坪単価に影響を与える要素に、外観や外装があります。建築する住宅の形が凸凹が多いような外観では、それだけ手間も工賃も嵩むことになるのです。坪単価を抑えるにはシンプルな形が最適ですが、どの程度のデザイン性を要求するのかは価値観も大きく影響する部分です。大切なのは注文住宅を建築するのに必要な費目を把握しておき、妥協できる部分とそうではない部分のメリハリをつけることにあります。